- 2024/12/12
ゴルフ会員権の歴史や相場の変遷
ゴルフ会員権は、ゴルフを楽しむだけでなく、投資の一環としても長年注目されてきました。
しかし、会員権相場は時代とともに大きく変動しており、その時代の出来事に影響を受けて劇的な変化を見せてきました。
この記事では、ゴルフ会員権の歴史を振り返りながら、その背景にある経済状況や市場の動向、そして現代の会員権相場について分かりやすく解説していきます。
昭和時代におけるゴルフ会員権の誕生と、オイルショックの影響について詳しく見ていきます。
ゴルフ会員権が初めて登場したのは、昭和30年代後半とされています。
それまでは、ゴルフ場は非営利事業として運営されており、ゴルフのプレーには限られた層しか参加できませんでした。
しかし、非営利の認可が難しくなり、ゴルフ場は株式会社を設立し、株式を購入することでプレーできる権利を付与する「株式方式」が一般化したのです。
この仕組みは、ゴルフ場にとって安定した資金調達を可能にし、会員にとっては一定の権利と特典を得られるものでした。
さらに、昭和38年頃からは「保証金方式」も登場しました。これは、一定額の入会預託金をゴルフ場に預け、その後退会する際に返還請求できるという制度です。
保証金方式が普及したことで、多くのゴルフ場が安定的な資金を確保しながら会員権を提供できるようになりました。
このようにして、ゴルフ会員権は日本で次第に広まり、特に富裕層や経営者層にとってステータスの象徴ともなっていったのです。
昭和48年に発生した第一次オイルショックは、ゴルフ会員権市場に大きな打撃を与えました。
それまでのゴルフ会員権は、投資目的での取引が活発化していましたが、オイルショックによる経済の悪化により、多くの人が会員権を売りに出し、相場は急落しました。
この時期の会員権の価格下落はゴルフ業界全体にも深刻な影響を与え、多くのゴルフ場が経営の見直しを余儀なくされたのです。
しかし、昭和50年代に入ると相場が持ち直し、ゴルフ人気は再び上昇していくことになります。
1980年代後半のバブル経済は、日本全体に多大な影響を与え、ゴルフ会員権市場もその例外ではありませんでした。
ここではバブル期の相場の上昇と、その崩壊後の影響について見ていきます。
バブル期において、ゴルフ会員権は富裕層のステータスシンボルとしてだけでなく、投資対象としても大きな関心を集めます。
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、日本の経済は急成長を遂げ、土地や株式だけでなく、ゴルフ会員権も高値で取引されるようになりました。
都内の名門ゴルフ場では、会員権価格が数億円以上にまで達することもありました。
この時期のゴルフ会員権は、投資目的での購入が多く、本来のプレーを楽しむためのものから資産運用の一部に変わりつつあったのです。
バブル期の高騰は、日本全体の経済成長を背景に、ゴルフ場の価値を過剰に押し上げ、結果として多くの人々が会員権を購入する競争に拍車をかけました。
しかし、1991年にバブル経済が崩壊すると、ゴルフ会員権の相場も急激に下落を始めました。
経済全体が低迷し、資産価値が一気に下がる中で、多くのゴルフ会員権所有者はその価値の下落に直面しました。
バブル期に数億円近くまで高騰していた会員権も、崩壊後には数十分の一まで価値が落ちた例もあります。
バブル崩壊による相場急落は、ゴルフ会員権を資産として保有していた人々に大きな損失を与えました。
特に、投資目的で購入した人々にとっては、会員権の売却が困難となり、ゴルフ場経営にも影響が及びました。
破綻するゴルフ場が増え、民事再生や会社更生に入るケースも多く見られるようになったのです。
一方、価格の下落は続きましたが、ゴルフを純粋に楽しむ人々にとっては、バブル崩壊後に安価で購入できる機会が生まれたともいえるでしょう。
新型コロナウイルスが世界的に広がった2020年以降、人々のライフスタイルにも大きな変化が訪れました。
ここからは、コロナ禍におけるゴルフ需要の増加と、それに伴う会員権相場の変動について説明します。
2020年に新型コロナウイルスが流行し始めると、多くのスポーツやレジャー施設が利用を制限されましたが、ゴルフは比較的安全な屋外スポーツとして注目されました。
ゴルフは広大なコースでプレーするため、ほかのプレーヤーとの距離を保ちやすく、感染リスクを抑えながら楽しめることが評価されたのです。
ゴルフを楽しむ層は幅広くなり、初心者や若年層の参加者も増えたため、コロナ禍におけるゴルフ市場は新たな盛り上がりを見せることとなりました。
コロナ禍でのゴルフ需要の増加に伴い、ゴルフ会員権の相場も徐々に回復し、特に都心部からアクセスがよいゴルフ場では、会員権の需要が急速に高まりました。
例えば、関東エリアのゴルフ場では、2020年から2023年の間に会員権の価格が大幅に上昇し、バブル期ほどではないものの、一部コースでは価格が倍近くまで高騰しました。
特に、プレー目的で会員権を購入する個人層が増加し、投資目的ではなく純粋にゴルフを楽しむための会員権のニーズが高まっています。
このように、ゴルフは再び多くの人々に愛され、相場も安定的に上昇傾向にあるといえるでしょう。
現在のゴルフ会員権相場は、コロナ禍をきっかけに回復傾向を見せていますが、地域やコースの人気度によってその動向は異なります。
例えば、東京や大阪といった都市圏に近いゴルフ場では、アクセスのよさから会員権価格が高騰しています。
一方で、地方のゴルフ場では相場がそこまで上がらず、比較的安価に購入できるコースもあります。
今後の展望としては、ゴルフ人口の維持や増加が鍵となるでしょう。
若年層や女性ゴルファーの増加も見込まれており、こうした新たなプレーヤー層を取り込むことがゴルフ業界全体の発展につながります。
また、デジタル技術の導入など、ゴルフ場のサービス向上も重要なポイントとなるでしょう。
ゴルフ会員権の歴史を振り返ると、昭和から令和にかけてその価値は何度も大きな変動を経てきました。
現在、アクセスのよさやコースの質が求められる中、ゴルフ会員権は再び注目を集めています。
今後の相場動向を見据えながら、自分に合った会員権を選ぶことが重要です。
【著者・監修者情報】
株式会社東都ジャパン 代表取締役社長 杉浦 伸二
所属
出身大学
明治大学 卒業
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日本全国のゴルフ場はで約2,200コースあり、その内90%は会員制のゴルフ場であります。その会員権総数は約300万枚であります。1年間の会員の移動(名義書換)は会員権総数の4~5%の12~15万枚であり、この会員権の売買を我々会員権業者が取り扱っております。会員権を売りたい方と買いたい方の橋渡し役としての使命を担い、お客様1人1人のニーズに合った情報を迅速且つ正確に収集、提供しお客様のお役に立てる様、日々努力しております。