ゴルフ会員権関連コラム

ゴルフ会員権関連コラム

2024/12/04

ゴルフ会員権は遺産分割できる?遺産分割協議書の書き方も解説

ゴルフ会員権は遺産分割できる?遺産分割協議書の書き方も解説

ゴルフ会員権は、相続財産として扱われる際に特有の注意点が多く、相続人にとって複雑な問題となることがあります。

 

評価方法や会員規約の確認などの重要なポイントをしっかり把握しておかなければなりません。

 

本記事では、ゴルフ会員権を遺産分割の対象とする際の評価方法や遺産分割協議書の書き方、注意すべき点について分かりやすく解説します。

 

スムーズな相続手続きを進めるために、ぜひ参考にしてください。

ゴルフ会員権が遺産分割の対象となるか?

ゴルフ会員権をお持ちの方が亡くなられた場合、その会員権が遺産分割の対象となるかどうかは、多くの方が気になるポイントです。

 

まず理解しておくべきは、ゴルフ会員権が相続財産として扱われるかどうかは、ゴルフ場の規約に依存するという点です。

 

法律上、遺産分割の対象となる財産には、被相続人が死亡時点で所有していたすべての財産が含まれます。

 

ただし、特定の財産は「一身専属権」と呼ばれるものであり、これに該当する場合は相続財産とはなりません。

 

ゴルフ会員権もその種類によっては、この一身専属権に該当する可能性があります。

 

具体的に、ゴルフ会員権が相続財産となるかどうかは、ゴルフ場の会則を確認することが必要です。

 

例えば、会員が死亡した際に会員資格を喪失する旨が会則に記載されている場合、そのゴルフ会員権は相続財産とはなりません。

 

一方で、そのような記載がない場合は、会員権が遺産として分割の対象となります。

 

さらに、ゴルフ会員権には「預託金会員制」「株主会員制」の主に2種類が存在し、それぞれ相続に関する扱いが異なります。

 

ゴルフ会員権が遺産分割の対象となるかを判断する際には、ゴルフ場の規約をしっかり確認し、必要であれば専門家に相談することを強くおすすめします。

 

適切な確認と対応を行うことで、相続手続きがスムーズに進むでしょう。

ゴルフ会員権の評価方法

ゴルフ会員権を相続する際、その評価方法は非常に重要なポイントです。会員権の種類や制度によって評価方法が異なるため、正確に理解しておく必要があります。

 

ゴルフ会員権には以下の表のように、取引相場があるものとないものとに大別できます。さらに、入会預託金制度と株主制度の有無に分類されます。

ゴルフ会員権

取引相場がある

入会預託金制度がない

入会預託金制度がある

取引相場がない

株主制度がある

入会預託金制度がない

入会預託金制度がある

株主制度がない

入会預託金制度がある

入会預託金制度がない

 

ここでは、上表の6つのケースについて、それぞれの評価方法を詳しく説明します。

①取引相場があり入会預託金制度がないゴルフ会員権

取引相場が存在し、入会預託金制度がないゴルフ会員権の場合、その評価は比較的シンプルです。

 

このタイプの会員権は、被相続人が死亡した時点での取引相場価格をもとに計算します。具体的には、取引相場価格の70%が相続税評価額となります。

 

例えば、相続時の取引相場が500万円の場合、その評価額は350万円となります。

 

この方法は市場での取引価格を反映するため、公平性が高いとされています。

 

相続税評価額=取引相場×70%

②取引相場があり入会預託金制度があるゴルフ会員権

取引相場があり、さらに入会預託金制度もある場合、評価方法は少し複雑になります。

 

まず、取引相場の70%を計算し、それに加えて入会預託金の返還額を評価額に含めます。

 

例えば、取引相場が600万円で、入会預託金の返還額が100万円であれば、相続税評価額は420万円(600万円×70%)+100万円=520万円となります。

 

この場合、入会預託金の返還があるため、実際の相続価値が増加します。

 

相続税評価額=取引相場×70%+返還される入会預託金の額

③取引相場がなく株主制度のみがあるゴルフ会員権

取引相場が存在せず、株主制度のみがあるゴルフ会員権は、その評価方法が異なります。

 

この場合、ゴルフ会員権は「財産評価基本通達」に基づいて評価されます。

 

具体的には、非上場株式の評価方法を適用しますが、この計算は複雑であるため、専門家の助言を受けることが推奨されます。

 

非上場株式の評価には、会社の業績や資産状況、その他の経済指標が反映されるため、正確な評価が求められます。

 

相続税評価額=財産評価基本通達に基づく評価額

④取引相場がなく株主制度かつ入会預託金制度があるゴルフ会員権

取引相場がなく、株主制度と入会預託金制度の両方があるゴルフ会員権は、前述の株主制度の評価方法に加えて、入会預託金の返還額を評価に加えます。

 

例えば、株式の評価額が400万円で、入会預託金の返還額が50万円であれば、相続税評価額は450万円となります。

 

このような会員権は、ゴルフ場の運営形態や財務状況が影響するため、評価には細心の注意が必要です。

 

相続税評価額=財産評価基本通達に基づく評価額+返還される入会預託金の額

⑤取引相場がなく入会預託金制度のみがあるゴルフ会員権

取引相場がなく、入会預託金制度のみがあるゴルフ会員権の場合、その評価額は入会預託金の返還額のみで決定されます。

 

例えば、入会預託金が200万円であれば、その金額がそのまま相続税評価額となります。

 

取引相場がないため、入会預託金の返還が相続価値のすべてを占めることになります。

 

相続税評価額=返還される入会預託金の額

⑥取引相場がなく株主制度も入会預託金制度もないゴルフ会員権

取引相場がなく、株主制度も入会預託金制度も存在しない、いわゆる「プレー権のみ」のゴルフ会員権の場合、ゴルフ会員権は相続財産として評価されません。

 

つまり、相続税の対象とはならず、評価額もゼロとなります。

 

これは、会員権が純粋にゴルフをプレーする権利に過ぎず、経済的価値が認められないためです。

参照:No.4647 ゴルフ会員権の評価|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4647.htm

遺産分割協議書の書き方

ゴルフ会員権が相続財産に含まれる場合、その分割方法を明確にするために遺産分割協議書を作成する必要があります。

 

遺産分割協議書は、相続人全員が遺産の分割方法に合意したことを記録する正式な文書です。

 

この書類が正しく作成されていないと、後々トラブルが発生する可能性があるため、注意深く作成することが重要です。

 

遺産分割協議書の実例を見てみましょう。

 

第◯条ゴルフ会員権について

 

相続人A(長男B)は、次のゴルフ会員権を取得する。

 

    会社名:株式会社〇〇

    ゴルフ場名:〇〇カントリークラブ

    会員権種類:入会預託金ゴルフ会員権

    会員番号:123456

 

 

遺産分割協議書には、ゴルフ会員権に関する情報を具体的に記載します。

 

例えば、どのゴルフ場の会員権なのか、その会員番号や種類(入会預託金制度、株主会員制度など)、そして契約相手となる会社名を明記する必要があります。

 

この情報を明確にすることで、後々の誤解や混乱を避けることができます。

 

ゴルフ会員権の遺産分割では、評価額をもとにして他の財産とのバランスを取ることが重要です。

 

例えば、会員権の評価額が500万円である場合、その分を他の遺産(不動産や預貯金など)で調整し、公平な分割を実現します。

 

また、遺産分割協議書は全相続人の合意が必要であり、全員の署名と押印が求められます。

 

この書類は法的効力を持つため、しっかりとした内容で作成することが不可欠です。

 

自己判断で適当に作成してしまうと、後々法的に無効となるリスクもあるため、必要に応じて専門家の助言を受けることが賢明です。

 

遺産分割協議書を作成する際には、相続人間で十分に話し合い、合意を得た上で進めることが重要です。

 

相続問題は感情が絡むことも多いため、冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう。

ゴルフ会員権遺産分割協議の注意点

ゴルフ会員権を遺産分割の対象とする際には、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。

評価の難しさ

ゴルフ会員権の評価は、相続の中でも特に難しい部分です。

 

なぜなら、ゴルフ会員権の価値は市場の動向や景気の変動に大きく影響されるため、正確な評価が困難な場合が多いからです。

 

市場価格が大きく変動する場合、その時点での正確な相場を知るためには、ゴルフ会員権業者に確認する必要があります。

 

さらに、ゴルフ場の立地や経営状況、ゴルフ人気の変動も価格に影響を与えるため、評価額を一律に決めることは難しいです。

 

これらの理由から、ゴルフ会員権の評価には専門的な知識と経験が求められるため、必要に応じて専門家に相談することが推奨されます。

 

評価が正しく行われないと、相続人間で不公平感が生じるリスクがあります。

 

このため、ゴルフ会員権の評価には最新の情報をもとにした慎重なアプローチが求められるでしょう。

会員規約の確認

ゴルフ会員権が遺産分割の対象となるかどうかを判断する際には、ゴルフ場の会員規約を詳細に確認することが不可欠です。

 

ゴルフ会員権には、預託金会員制や株主会員制などさまざまな種類があり、それぞれの制度によって相続時の取り扱いが異なります。

 

会員規約に「会員が死亡した場合、会員資格を喪失する」と明記されている場合、そのゴルフ会員権は相続財産とはなりません。

 

会員規約を確認する際には、相続人がどのような権利を継承できるのか、またはどのような義務が伴うのかを明確に理解することが大切です。

まとめ

ゴルフ会員権の相続は、他の財産に比べて評価方法や手続きが複雑であるため、慎重な対応が求められます。

 

特に、正確な評価と会員規約の確認は、後日のトラブルを避けるために不可欠です。

 

本記事で紹介した内容を踏まえ、適切な遺産分割協議を行うことで、相続人全員が納得できる結果を得ることができるでしょう。

 

困難な場合は、専門家の助言を受けることも検討し、スムーズな相続手続きを進めてください。

株式会社東都ジャパン 代表取締役社長 杉浦 伸二

【著者・監修者情報】
株式会社東都ジャパン 代表取締役社長 杉浦 伸二

所属

出身大学

明治大学 卒業

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日本全国のゴルフ場はで約2,200コースあり、その内90%は会員制のゴルフ場であります。その会員権総数は約300万枚であります。1年間の会員の移動(名義書換)は会員権総数の4~5%の12~15万枚であり、この会員権の売買を我々会員権業者が取り扱っております。会員権を売りたい方と買いたい方の橋渡し役としての使命を担い、お客様1人1人のニーズに合った情報を迅速且つ正確に収集、提供しお客様のお役に立てる様、日々努力しております。