- 2024/09/26
ゴルフ会員権は相続の対象になる?手続きの方法や税金の評価も解説
ゴルフ会員権の相続について、どのように手続きすればよいのか迷っている方は少なくありません。
金融資産や不動産と異なり、ゴルフ会員権には特有の手続きや評価方法が存在します。
そこで本記事では、ゴルフ会員権の具体的な相続手続きの方法、必要書類、相続税の評価額の計算方法について詳しく解説します。
ゴルフ会員権が相続の対象になるかどうかは、多くの方が疑問に思うポイントです。
ここでは、ゴルフ会員権が相続の対象となるかどうかを詳しく見ていきましょう。
まず、ゴルフ会員権とは何かを理解することが重要です。
ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場を利用する権利のことで、主に「入会預託金制度」「株主会員制度」の2つの種類があります。
入会預託金制度のゴルフ会員権は、入会時に一定の金額をゴルフクラブに預けることで、施設を優先的に利用できる権利を得るものです。
このタイプの会員権は譲渡が比較的自由で、退会時には入会預託金が返還されます。
しかし、譲渡を受ける人は入会審査を通過しなければならないことが多いです。
株主会員制度のゴルフ会員権は、ゴルフ場を所有する会社の株主としての地位を持ちます。
こちらも譲渡が可能ですが、譲渡時にゴルフクラブの理事会から承認を得る必要があります。
相続対象となる場合、ゴルフ会員権は相続税の課税対象です。
相続税の評価額は、取引相場のある会員権については被相続人が死亡した日の取引価格の70%を基準に計算されます。
また、取引相場がない場合でも、入会預託金制度がある場合の評価方法も存在します。
例えば、市場での取引相場が1000万円のゴルフ会員権がある場合、その評価額は700万円です。
もし、入会預託金制度があり、預託金が返還される場合は、その返還額も評価に含める必要があります。
ゴルフ会員権の相続手続きには、他の財産とは異なる特有の手続きが必要です。
ここでは、名義書換の方法と必要書類について詳しく解説します。
ゴルフ会員権の名義書換を行う際の手順は以下のとおりです。
相続人全員の合意を得て、手続きを進める代表相続人を決定します。代表相続人が手続きを一括して行います。
所有しているゴルフ会員権があるゴルフクラブに連絡し、名義書換の手続きについて確認します。クラブによって手続きが異なる場合があるため、詳細な案内を受けることが重要です。
戸籍謄本(除籍謄本)、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、ゴルフ会員権証書など、ゴルフクラブが指定する必要書類をそろえます。
代表相続人に名義を変る場合、通常の名義書換料よりも割安になることが一般的です。
準備した書類をゴルフクラブに提出します。提出書類の不備がないように、書類の記入や押印をしっかりと確認します。
一部のゴルフクラブでは、相続人が新規会員として入会審査を受ける必要があります。
名義書換が完了し、相続人は正式にゴルフ会員権の所有者となります。
ゴルフ会員権の名義書換には、いくつかの重要な書類が必要です。以下に主要な書類を挙げます。
被相続人が死亡したことを証明する除籍謄本と、法定相続人全員の名前が記載されている戸籍謄本を用意します。
相続人全員が遺産分割に同意したことを証明する書類です。全員の署名と実印の押印が必要です。この書類は、相続人間でのトラブルを防ぐためにも重要です。
遺産分割協議書又は相続同意書に押印された実印の証明書です。これにより、相続人全員の合意が正式なものであることを証明します。
被相続人が所有していたゴルフ会員権の証書です。これは、名義書換を行うために必要となります。
各ゴルフクラブが指定する書類です。例えば、入会申込書や承認申請書などがあります。
以上の書類を準備し、ゴルフクラブに提出することで名義書換の手続きが進められます。手続きの詳細はゴルフクラブによって異なるため、事前に確認することが重要です。
ゴルフ会員権を相続する際、相続税の評価額を計算することが必要です。評価額の計算方法は、会員権の種類や取引相場の有無によって異なります。
ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。
取引相場のあるゴルフ会員権の場合、相続税の評価額は被相続人が亡くなった日の取引価格を基準に計算されます。
具体的には、その日の取引価格の70%が評価額となります。
例えば、市場での取引価格が1000万円のゴルフ会員権がある場合、相続税の評価額は700万円になります。
取引価格に含まれない入会預託金などがあるときは、次に掲げる金額との合計額によって評価します。
(1)課税時期において直ちに返還を受けることができる預託金等
ゴルフクラブの規約などに基づいて課税時期において返還を受けることができる金額
(2)課税時期から一定の期間を経過した後に返還を受けることができる預託金等
ゴルフクラブの規約などに基づいて返還を受けることができる金額の課税時期から返還を受けることができる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とします。)に応ずる基準年利率による複利現価の額 |
取引相場のない会員権のときは、次に掲げる金額との合計額によって評価します。
(1)株主でなければゴルフクラブの会員(以下「会員」といいます。)となれない会員権
その会員権に係る株式について、財産評価基本通達の定めにより評価した課税時期における株式の価額に相当する金額によって評価します。
(2)株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
その会員権について、株式と預託金等に区分して、それぞれ次に掲げる金額の合計額によって評価します。
● イ株式の価額 上記「取引相場のない会員権」の(1)に掲げる方法を適用して計算した金額 ● ロ預託金等 上記「取引相場のある会員権」の(1)または(2)に掲げる方法を適用して計算した金額
(3)預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
上記「取引相場のある会員権」の(1)または(2)に掲げる方法を適用して計算した金額によって評価します。 |
参考:No.4647ゴルフ会員権の評価|国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4647.htm
このように、ゴルフ会員権の相続税評価額は、会員権の種類や市場の状況によって大きく異なります。
相続税の申告を適切に行うためにも、専門家の助言を受けて正確な評価額を把握しておくことが大切です。
ゴルフ会員権の相続には、名義変更の他に売却する方法があります。どちらの方法を選ぶかは、相続人の意向やゴルフクラブの規則により異なります。
市場で売却するときには、次のように注意しなければならない点があります。
● 被相続人から相続人へ名義書換の手続きが必要か
● 売却するまでの年会費に対して優遇措置を受けられるか
● 売却価格の相場がいくらくらいになるか
● 売却時に発生する税金がいくらくらいになるか
以上の注意点について、順番に見ていきましょう。
会員権を相続して市場で売却するときには、被相続人から相続人へ名義書換の手続きが必要なケースと必要でないケースの2つのパターンがあります。
そのため、売却しようとする際には、事前にゴルフクラブに相続人へ名義書換が必要かどうかを確認しましょう。
相続人へ名義書換が必要でない場合は、すぐに市場に売却することができます。
名義書換が必要になる場合は、上述で説明した順で名義変更を行ってから、売却します。このときに名義書換料の支払いが発生するかどうかも確認しておく必要があります。
ゴルフ会員権を相続して会員になると、年会費の支払いが発生します。
ゴルフクラブによっては、相続したゴルフ会員権に限り、市場で売却するまでの期間は年会費の優遇措置を行っているところがあります。
ゴルフ会員権の相続は、市場で売却ができるまでにある程度時間がかかります。
そのため、年会費の優遇措置があるかどうかは大きなポイントになるので、よく確認しておきましょう。
売却価格がいくらくらいになるかは、当然気になる点です。
市場で売却するときは、ゴルフ会員権業者が売買を担当するため、業者の相場を確認しておきましょう。
会員権業者によって価格が異なる場合がよくあります。なぜなら、会員権業者ごとに得意な地域などがあるためです。
ゴルフ会員権は、売りの価格と買いの価格で値段が異なります。売りの価格と買いの価格の需給のバランスで価格が決まります。
さらに、会員権業者に支払う取引手数料も発生するので、事前に確認しておきましょう。
ゴルフ会員権の売却時には、相続税と所得税の2種類の税金が発生するので注意が必要です。
売却によって譲渡益が出たときの所得税額は、被相続人が取得したときから相続人が売却するまでの経過年数が、5年以上か否かによって変わってきます。
また、相続税の申告期限から3年未満の場合に会員権を譲渡する場合は「取得費加算の特例」の優遇措置が受けられます。
「取得費加算の特例」とは、譲渡益を計算する際に、購入したゴルフ会員権の価格に相続税の一部を加えることができるものです。
その結果、譲渡益が低く抑えられるため、所得税の金額が安くなります。
ゴルフ会員権の相続は、他の財産とは異なる特有の手続きや評価方法が必要です。
まず、ゴルフ会員権が相続の対象になるかどうかを確認し、その後、名義書換や売却の手続きを進めることが重要です。
名義書換には戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類が必要で、売却時には譲渡所得税の計算も求められます。
また、相続税の評価額は取引相場の有無によって異なり、正確な評価が必要なため、専門家の助言を受けることで、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
【著者・監修者情報】
株式会社東都ジャパン 代表取締役社長 杉浦 伸二
所属
出身大学
明治大学 卒業
コメント
日本全国のゴルフ場はで約2,200コースあり、その内90%は会員制のゴルフ場であります。その会員権総数は約300万枚であります。1年間の会員の移動(名義書換)は会員権総数の4~5%の12~15万枚であり、この会員権の売買を我々会員権業者が取り扱っております。会員権を売りたい方と買いたい方の橋渡し役としての使命を担い、お客様1人1人のニーズに合った情報を迅速且つ正確に収集、提供しお客様のお役に立てる様、日々努力しております。