- 2023/04/17
ゴルフ会員権の預託金は返還される?トラブル内容から解決方法まで解説
ゴルフ場の会員権を購入する際には、預託金を預け入れることが必要です。
この記事では、ゴルフ会員権の預託金の仕組みについて紹介し、預託金返還問題のトラブル内容や解決方法まで解説していきます。
ゴルフ会員権の購入を検討していて預託金に関する問題が気になる方は、ぜひご参考にしてみてください。
預託金会員制のゴルフ会員権とは、ゴルフ場の運営会社に対して一定金額の預託金を預けて入会する仕組みです。
会員となったメンバーは、ゴルフ場の施設を優先的に利用することができます。
入会してから10年~20年程度の一定期間の据え置き期間が経過した後、退会をした際に預託金の返還が受けられる形態となっています。
預託金会員制のゴルフ会員権(預託金返還請求権+ゴルフ場の優先的利用権) =売買の対象 |
上の図のとおり、会員権とは「預託金返還請求権」と「ゴルフ場の優先的利用権」の2つの権利を指します。
もし、預託金会員制ゴルフ会員権を売買するときは、この2つの権利を同時に譲渡することになります。
ゴルフ場を造るためには、莫大な費用が発生します。
そのため、ゴルフ場の運営会社は、ゴルフ場建設のために、優先的にプレー権が得られる会員を募集しお金を集めます。
ゴルフ会員となったメンバーは、一定の金額を運営会社に預託金として預け入れることで、ゴルフ場の優先的利用権を得ることができます。
現在、多くの国内ゴルフ場の会員形態は、この預託金会員制を採用しています。
預託金返還請求権とは、預託金を返金してもらう権利であり、全ての会員が権利を有しています。
預託金を返金してもらう権利を行使するには、ゴルフ場が会則で定めている一定の据置期間が経過した後に退会する事が必要です。
ゴルフ会員を退会することは、ゴルフ場の優先的利用権も同時にゴルフ場に返すことになります。
また、一部のゴルフ場では「入会預託金制度」が導入されています。
入会預託金は、文字通り入会時に預け入れ、退会するときに返金されるお金であり、預託金とは異なります。
ここからは、過去に社会問題化した預託金の返還問題について、解説していきます。
1980年代のバブル経済によって景気が上向き、それに伴ってゴルフ会員権の価格は継続して値上がりし続けると、多くのゴルフ場運営会社は考えていました。
ゴルフ会員権の価格が継続して値上がりし続ければ、預託金を返還するよりも市場で売却した方が利益を得られます。
そのためゴルフ場運営会社側は「会員が預託金の返還請求をすることは、まず考えられない」という見通しがあったのです。
同じように、会員の方もゴルフ場の運営会社に預託金が残っているかどうかなどは考えず、いつでも市場で高く売却できるという見通しがあったと言えるでしょう。
1990年代になってバブル経済が崩壊し、ゴルフ場の運営会社の業績は悪化し、ゴルフ会員権の価格は大きく値下がりしました。
その結果、会員からの預託金返還請求が集中しましたが、お伝えしてきたように預託金は「ゴルフ場を造るための資金」として入会時に集めていたお金です。そのため、ゴルフ場運営会社はゴルフ場の建設費用として預託金を使用し、預託金返還に対応できるお金がありません。
そこでゴルフ場の運営会社は、預託金の据置期間を延長したり、返還を拒否したりするようになったのです。
そのことを不服としたゴルフ会員は、いろいろなところで預託金返還請求訴訟が提起されるようになりました。
預託金返還請求問題のポイント
景気が良くゴルフ会員権の市場価格が、預託金を上回っているとき |
会員は、市場でゴルフ会員権を売却すれば多くの利益が生まれるため、預託金の返還請求をしない。 |
景気が悪くゴルフ会員権の市場価格が、預託金を下回っているとき |
会員は、市場でゴルフ会員権を売却すれば多くの損失が生まれるため、預託金の返還請求をした方が得になると判断する。 |
預託金を返還できなくなった多くの運営会社は、預託金据置期間の延長を決議しましたが、果たして効力はあるのでしょうか。
裁判所の判断としては「ゴルフ場の据置期間の延長の効力は認められない」というものです。
多くのゴルフ場の会則には「天変地異、その他不可抗力の事由が発生した場合、理事会決議により預託金の据置期間を延長することができる」などの定めがあります。
ところが裁判所は、経営状況悪化を理由に会員の権利を不利益にすることはできないと判断したのです。
ゴルフ場の運営会社は、経済状況を考慮しながら経営していくことが求められ、見通しが甘かった責任を会員に負わせることはできません。
もし預託金が返還されない事態になったとき、どうすればいいかについて解説します。
弁護士に依頼すると多額の弁護士費用が発生するため、費用を掛けて解決をしたくない場合には、まずは自分でゴルフ場に対して交渉しましょう。
ゴルフ場側の提示する条件によりますが、分割返済などで和解に持ち込める場合もあるかもしれません。
自分で交渉することが困難になれば、弁護士に依頼します。
訴訟を起こすことを背景にして交渉を依頼すれば、優位に進めることができるかもしれません。
この記事では「ゴルフ会員権の預託金返還請求」について解説してきました。
預託金返還に関するトラブルが発生したときは、一人で悩まずに弁護士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。
ただし、ゴルフ場の運営会社が経営難に陥り破産してしまうと、結局は返還してもらうことはできません。
裁判で勝っても、差し押さえられる資産がなければ、納得できない金額で和解をせざるを得なくなってしまいます。
そのためゴルフ会員権を購入する際には、ゴルフ場の運営状況や契約内容を把握したうえで、よく検討してみましょう。
【著者・監修者情報】
株式会社東都ジャパン 代表取締役社長 杉浦 伸二
所属
出身大学
明治大学 卒業
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日本全国のゴルフ場はで約2,200コースあり、その内90%は会員制のゴルフ場であります。その会員権総数は約300万枚であります。1年間の会員の移動(名義書換)は会員権総数の4~5%の12~15万枚であり、この会員権の売買を我々会員権業者が取り扱っております。会員権を売りたい方と買いたい方の橋渡し役としての使命を担い、お客様1人1人のニーズに合った情報を迅速且つ正確に収集、提供しお客様のお役に立てる様、日々努力しております。